ビロードの背中
「塗り絵なんて可愛いね。」


「そう、何度もダメだって言ってるのに、仕事用の値段の高い方の色鉛筆使うんだ。」


「・・・絵については、何て?」


「・・・『こんなに澄んだ絵、絵本になったら子供たちが読むんだね。

その絵本画家さんが、昼間っから女とヤってたなんて知ったら、

世のお母様方は驚くだろうな。』って言う。」


私は笑ってしまった。


彼もやっと、少しの笑顔を私に見せた――。

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