12月の春、白い桜が降る。
「ねぇ、よう」

ひなたは雪の降り注いでいるイルミネーションに視線を送ったまま僕に話しかける。

僕もひなたの顔は見ずに、イルミネーションを見たまま返事をする。

「なに?」

「来年の春さ、私、桜…見れるかな」
「見れるに決まってんだろ。」

その言葉がまるで、私はどうせ死ぬから、と言っているようで、僕は強く言い返した。

「そっか」

「じゃあ、来年も絶対一緒に桜見ようね」

そうだね。今年の春と同じように。

あの綺麗な桜を、もう一度、一緒に。
きっと、大好きな桜をまた見ることが出来るよ。

言葉には出さず、強く、強く。心でそう唱えながら、

「もちろん」

と一言だけ言葉をこぼした。
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