やさしくしないで ~なぜか、私。有能な上司に狙われてます~
「ずいぶん時間かかったじゃん」
私は水口さんに謝って、サポート課に戻った。
席に戻るなり早紀先輩が言った。先
輩の手元には、さっきのメモがある。
「どこかで油を売ってたわけじゃありません。別件で頼まれて」
「誰に?」
「営業部の女性です」
「女性ってだれ?」早紀先輩が質問をしてから、考えてる。
営業部は男性が多く、女性の社員は数えるほどしかいない。
「背が高くて、髪が肩のところでくるんとしてる……」
「ああ、水口さんだ」営業の社員は制服を着ていないから、胸元にネームプレートを付けていない。だから誰だか確信が持てない。
「へえ、やるじゃん。近くで見て来た?やっぱ、彼女派手だった?」
「ええ、たぶん。世間一般的には派手な部類だと思います」
「ふ~ん」

「先輩、その水口さんに町田課長を呼んで来てと言われました」
「あ、そう」早紀先輩は、興味なさそうに答えた。
「えっと……」
「呼びに行けば?」
いつまでも立っている私に早く行かないのか、と催促している。
「はあ」
「いつものことだから。気にしないの」
「どういう意味です?」
「そのうち分かるよ」
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