やさしくしないで ~なぜか、私。有能な上司に狙われてます~
「課長を呼ぶんですか?」
いや、いや。それだけは、避けたいです。
この程度の仕事が出来ないと思われたくない。それじゃまるで、私、役立たず認定じゃないですか。

結局、課長を呼んで来いということになったらどうしよう。それはまずい。
何とかしなければ。
「念のために、もう一度確認させていただきます、もう少しお時間下さい」
「あら、そう?」美人に眉をつり上げて、上から見下ろされた。
すごい迫力に顔が強ばる。
「いえ」バカが付くほど丁寧に見直しをする。見たところで、何かできる訳じゃない。
この程度のものなら、30分もあればきるはず。なんて、甘い見通しをたててしまった。

「どう、なんとかなった?」
「あの……」まだ、10分もたってませんが。

彼女が見ている前で、さっき直したばかりの帳票の出力ツールを動かした。
カタカタと音がして、数枚の帳票が出力された。
やっとのことで、出力できて良かった。
ホッと胸をなでおろした。
が、水口さんは、渋い顔で帳票をにらんでいる。
「んん……これ、違うんだけど」
「えっと……」
ち、違う?
ど、どこが違うんでしょうか?
そういいかけて止めた。
「数字直ってない」
「えっと……?」
出力した帳票を無表情に突きつけられた。
どうやら水口さんに、ダメ出しくらったらしい。
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