やさしくしないで ~なぜか、私。有能な上司に狙われてます~

「んで、話ってなに?」席について早々に話を切り出した。
早紀先輩は、やっぱり直球&速攻できた。
この人は、世間話をして場を和ませてからなんて考えないんだろうな。
「ご察しの通り、町田課長のことです」
「うん」早紀先輩は、出されたワインを一口飲んでふ~と息を吐いた。
「すみません。早紀先輩、話を聞いてくださいだなんて。家のこともあるのに」
「いいよ。今日は旦那が息子二人に料理を作る約束になってるから。それより、ここ、ワインも安い割に上手いね」
「そうですか?」私は、早紀先輩の家庭での様子を想像して微笑んだ。早紀先輩会社での姿と1ミリも変わらないんだろうな。

「お待たせしました」店のマスターがパスタをもってきた。
「ありがとう」早紀先輩が早速、粉チーズをかけ、フォークにスパゲッティを巻き付けると、豪快に口の中に放り込んだ。
口の中がいっぱいになって、もぐもぐさせている。
< 65 / 159 >

この作品をシェア

pagetop