月之丞の蔵
――……雪――

 そうだった。見間違える程、私は雪さんに、似ているらしいのだ。姿も、声も。それに、何度も雪さんの体験したことを、夢に見る。

もしかして……?

いやいやいやいたいや。

そんなこと、ないでしょう。この平成も終わろうとしている時に、ねえ。

じゃあなぜ、あんな夢を見るの?

自分の中に、記憶があるからじゃないの?

……生まれ変わり。

なのかな。もしくは、雪さんが私に記憶を残すことで、月之丞に本当のことを伝えようとしている、とか?

どちらにせよ、すごい縁というか、関係があることに変わりはない。私は雪さんの代わりに月之丞に本当のことを教えて、教えて……その後はどうするの?

月之丞は本当のことを知って救われるのかな?

でも、裏切られたと思って二百年も幽霊をするより、本当のことを知って、あ、そうだ。
現代を楽しめばいいじゃん!

私は雪さんと同じ顔で、もしかしたら生まれ変わりとか、そういう可能性もあるわけだし。
もう一度、二人の愛のシナリオが始まるかもしれないし……いや、幽霊だから、それはだめか。私、夢見すぎだ。

でも、生まれ変わりかもしれない、か。
まったく……『雪』なんて同じ名前をつけるとは、うちの親も凄い勘をしているけど。

 蔵の地下へ行くと、月之丞は昨日と同じ場所に立っていた。一晩中、何を考えていたのか、瞳に哀しみをたたえている。

「雪さんは、二百年前、月之丞を裏切ったんじゃないよ」

 思わず口をついて出た言葉。月之丞が辛そうに顔を歪める。

「この家の人が無理やり江戸に、駕篭に乗せて連れて行ったの。駕篭に閉じ込めて。月之丞に知られないようにして」

月之丞は一瞬驚いたように目を見開いたが、鋭い目で私を睨む。

「なぜ、お前に、そんなことがわかる?」
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