旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです
「でも本当未練とかじゃないんです。彼その彼女と結婚して子供も生まれたらしいですし、私みたいなニセモノといるより幸せでよかったんじゃないかな」
そう、よかったんだ。
わかってもらえなくて当たり前だし、否定されて当たり前。
全部当然のことで、落ち込む理由なんてない。
納得させるように繰り返すたび、胸にはチクリと痛みが走るけれど。
「……彩和」
その時、津ヶ谷さんは突然私の肩を引き、顔を彼の方へ向けさせる。
そして彼が私の目尻を撫でた仕草で、自分が泣いていたことに気がついた。
「あれ、なんでだろ……すみません」
情けない泣き顔を見られたくなくて、両手で顔を隠す。
けれど、津ヶ谷さんはそんな私から目をそらすことなく、頭をぽん、と軽く撫でた。
「泣きながら強がり言うな。この際だ、本音聞かせろよ」
「本音なんて……」
「今更、引いたり失望なんてしないから」
本音なんてない、と更に重ねようとした強がりを、彼は優しい言葉で包み込んでしまった。
……ずるい。
いつもは意地悪なくせに。
仮の夫婦でしかないんだから、奥深くまで踏み込む必要なんてないのに。
そんなふうにほしい言葉を与えられたら、甘えてしまう。
隠していた本当の自分が、もっと露わになっていく。