旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです
津ヶ谷さん、どうして?
『それはどうですかね』
その発言の意味も、こうして連れ出した意味も、なにもわからない。
居酒屋を出て、人の行き交う夜の街を歩く。
ハイヒールの不安定な足取りで小走りをしながら、一歩先を行く彼の後を追った。
「つ、津ヶ谷さん、待って」
必死についていったけれど、駅の近くまできたところで道の小さなおうとつにつまずき、足をくじいてこけてしまった。
「いたた……」
足首はひねるし、膝はぶつけるし、靴も脱げて座り込んで……散々だ。
通りがかる人々がなにごとかとこちらを見ていく中、津ヶ谷さんはようやく足を止めると、こちらへ戻ってきた。
「……だから、無理してヒールなんて履くなって」
呆れたように言いながら、彼は私の体をお姫様抱っこの形で持ち上げ、近くの石造りのベンチにそっと座らせた。
ベンチに浅く座るとひんやりとした冷たさが太ももに伝った。
そして津ヶ谷さんは、私の前にひざまづくと、紙袋からあるものを取り出す。
それは私が先日小西さんに渡したはずの靴だ。