旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです
「って、あれ?左手薬指、ってことは彼氏からですか!?」
「……うん、実は」
隠すことなくえへへと笑うと、周囲にいた他の女の子たちもこちらへ集まってきた。
「ついに桐島さんも結婚ですか?いいなぁ。それに桐島さんを落とせるなんてすごい人なんだろうなぁー!」
「ふふ、どうかなぁ」
「やっぱり紳士的な人ですか?かっこよくて大人で、余裕があって!」
「ううん、真逆。だけど、不器用だけど優しい人だよ」
笑って言うと、背後ではゴホッと誰かが噴き出したような音が響く。
何事かと振り返ると、そこでは津ヶ谷さんが飲んでいたコーヒーを噴き出してしまっていたようで口元を押さえていた。
「うわっ、津ヶ谷大丈夫か?」
「すみません、大丈夫です。変なところ入っちゃって」
動揺したのか、めずらしい彼の姿に室内の人は皆驚きの視線を向けた。
手洗ってきます、と部屋を出る彼に、私も自然に後に続き出る。
そしてふたりきりの廊下で、私は津ヶ谷さんに声をかけた。
「津ヶ谷さん、大丈夫でした?ハンカチありますよ」
「誰のせいだと思ってるんだよ。堂々とのろけてるな。恥ずかしい奴」
頬を少し赤く染めながら、私を小突く。そんな表情のひとつも、私だけのもの。
それが嬉しくて、私は顔をくしゃくしゃにして笑った。
私たちの関係は、まだ周囲には秘密のまま。
それぞれの仮面も被ったまま。
だけど、つながる心はふたりだけのもの。
あなたは私だけの、王様。
end.


