旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです



「そうだったんですか!もう愁さんてば彼女さんを連れていらっしゃるなら、ご連絡のひとつくらいくださいな!」

「あはは、ごめんね。小西さんのことビックリさせたくて」

「もう、まんまとびっくりしちゃいましたよ!あっ、彩和さんどうぞおあがりください!せっかくですしお夕飯食べて行ってくださいませ」



小西さんはスリッパを用意すると、そそくさと中へ入っていく。

ふたりきりになった途端、津ヶ谷さんは微笑みをニヤリとした意地悪い笑みに変えてこちらを見た。



「期待通りの発言をありがとう。賢いやつで助かるよ」



む、ムカつく……!



私がどちらを選ぶかなど彼にはわかりきっていたのだろう。

そりゃあそうだ。バラされてもいい、なんて言えるわけがない。

案の定、津ヶ谷さんの思惑通りに動いてしまった自分が悔しいけれど……。



「じゃあ、とりあえず飯食う前にこれ。書いておけよ」

「え?」



津ヶ谷さんが鞄から取り出し見せたのは、一枚の紙。

それは【婚姻届】と書かれた用紙だった。



「へ!!?こ、婚姻とど、むがっ」

「声がでかいんだよ。小西さんに聞こえるだろ」



思わず声をあげてしまった私の口元を、津ヶ谷さんは手で塞ぎ黙らせた。

顔を覆ってしまいそうな大きな手に、むがむがともがき、その手から逃れる。


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