旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです
ガラ、と戸を閉めてふたりきりになると、それまでにこにこしていた津ヶ谷さんは途端に仏頂面となる。
その表情の変化も最早見慣れたものだ。
よし、じゃあ私は駅の方で時間でも潰そうかな……。そう切り出そうとした、その時
「ガレージそっちだから。入って車乗れ」
津ヶ谷さんは、門の左側にある、シャッターの降りたガレージを指差す。
「え?」
「行くんだろ?デート」
ってことは……つまり、その場しのぎの嘘ではなく、本当にデートをするということで。
夫婦のフリ、そのためのデート。そうわかっていても、なんだか嬉しい。
仮の妻、というもの以上の存在に、少しはなれているのかな、なんて思ってしまう。
津ヶ谷さんの車で家を出て、しばらく走ったのちにやって来たのはお台場にあるショッピングモール。
いかにもなデートスポットな気もしたけれど、カップルだらけのここなら紛れることもできる。
最悪誰かに見られても『たまたまお互い買い物をしていただけ』とごまかせるし、と津ヶ谷さんと行き先を話し合った結果ここになった。
ヨーロッパの街並みを模したお店が並ぶ建物内を津ヶ谷さんと歩く。
「買い物して飯でも食ってるうちに時間潰れるだろ」
「そうですね」
スタスタと歩く津ヶ谷さんに、ついていくように小走りになる。
けれどハイヒールを履くこの足はどうしてもペースが遅くなってしまい、津ヶ谷さんの一歩後ろを必死についていく。
そんな私に、津ヶ谷さんは目を止めた。