旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです
「いつも思ってたけど、その靴歩きづらくないのか?」
「そりゃあ歩きやすくはないですけど……でもこれが一番しゃんとして見えるんですもん」
ハイヒールは、正直苦手なほうだ。足は疲れるし歩くのは遅くなってしまうし。
だけど大学デビューの際、いつも猫背だった自分を奮い立たせるためにヒールを買った。
少し高くなる視線に背筋は伸び、いつもより自分がしゃんとして見える気がした。
「本当はローヒールのほうが好きなんですけどね」
えへへ、と笑う私に津ヶ谷さんは興味なさそうに「へぇ」と相槌を打った。
自分から聞いたくせに興味なさそう……。
けれど、歩くうちに徐々に津ヶ谷さんは隣に並ぶ。
次第に早足にならなくても彼と並んで歩けるようになった。
そのことに、津ヶ谷さんが歩く速度を緩めてくれたことに気がついた。
なにも言わないけど、速度を合わせてくれた……?
さりげないその優しさに胸がキュンと小さな音をたてた。
「そういえばお前、デートまで初めてとか言わないだろうな」
「なっ!」
ところが、続いて津ヶ谷さんからかけられたのは意地悪いひと言。
デートまで初めてかなんて失礼な!
「バカにしないでください!ありますよ!」
「へぇ、何回くらい?」
たかがしれてるだろうけど、とでも言いたげに鼻で笑ってたずねた。