旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです



「ずっと気になってたんですよ、これ。試着してもいいですか?」

「いいけど。フィット感がいいって超評判いいから、履いたらきっと欲しくなるぞ」

「そしたら買います!」



どの色にしようかな、と並んだパンプスを目の前にして悩む。すると、津ヶ谷さんはラベンダーカラーのパンプスを手に取った。



「彩和にはこれが似合うと思う」

「ラベンダー、ですか?」



自分では選ばないような柔らかな色に、首をかしげる。



「あぁ。ブルーベースの色白肌だし、かわいらしさと大人っぽさ、加えて柔らかさもある」

「私普段、黒とか白とかばっかりなんですけど……似合いますかね」

「大丈夫。似合うよ」



津ヶ谷さんははっきりと言い切ると、近くの椅子に私を座らせ目の前にひざまずく。

そして自然な手つきで私の足に触れると、履いていたハイヒールを脱がせた。



普段人に触れられることのない足に触れられ、肌がピクッと反応してしまう。

つま先が、緊張する。

こんなふうに、似合う色を選んでくれて、自ら履かせてくれるなんて。まるで本物の王子様だ。



それを見ていた周囲の人の「わぁ」という小さなざわめきを聞きながら、津ヶ谷さんはラベンダーカラーのパンプスをそっと履かせてくれた。



「わ……」



目の前の全身鏡で座ったまま足元を見ると、ストッキングを履いた自分の肌に確かによく合っている。



ゆっくりと立ち上がると、いつものハイヒールと比べ地面にしっかりと足がつくような感覚だ。

クッション性のふかふかな中敷が足によくフィットして気持ちいい。


視線は少し低くなるけれど、背伸びをせず自然な力で立てる。まるで魔法をかけられたかのようだ。


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