旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです
「どう、ですか?」
「さすが俺の見立てだな」
津ヶ谷さんにたずねると、彼はふふんと笑う。
俺のって……確かにそうだけど。もう少し褒めてくれてもいいと思う。
「お前の感想はどうだ?」
「すっごく履きやすいです。確かにフィット感も最高……買います!それに今履いて行きます!」
即決する私に津ヶ谷さんは『やっぱり』と言いたげに笑うと、こちらの様子をうかがっていた店員さんに声をかけに行く。
お店の奥へ向かう津ヶ谷さんと入れ替わるようにこちらへやってきた店員さんは、靴についていたタグを外し、紙袋に私が履いてきた靴をしまう。
そのうちに津ヶ谷さんは戻ってくるとお店を出ようとした。
「じゃあ私お会計に……」
「もう済ませた。行くぞ」
「へ?」
もう済ませたって……あ、今レジに行っていたんだ。
って、あれ。それってつまり。
「買ってやるよ。今回だけな」
「えっ、いいんですか?」
まさか津ヶ谷さんが買ってくれるとは思わず、驚きの声をあげる私に、彼はなだめるように頭をポンと軽く小突く。
「あとで小西さんにしっかり見せびらかしておけよ」
小西さんに……そっか、小西さんへの夫婦アピールのため。
『津ヶ谷さんが買ってくれたんです』なんて言ったら、いつものように小西さんが笑うのが簡単に想像ついた。
……でも、そうだとしてもうれしいな。
津ヶ谷さんが『似合う』と選んでくれた色。
自ら履かせてくれて、買ってくれた靴。
それは自分にとてもしっくりくる、自然体でいられるもの。