旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです



子供の頃から、アニメやゲームが大好きだった私。

高校生までメイクのひとつもせず、メガネをかけた黒髪で、おまけに性格も内気で、暗いタイプだった。

けれど、高校3年生の頃に初めて三次元の人に恋をして、あえなく失恋。



『お前みたいな根暗なオタクと付き合うわけねーだろ』



あまりにもどストレートすぎるその言葉に、さすがに傷ついた。

けれどそれをきっかけに変わりたいと思い、大学デビューを決意した。



髪を明るく染めて、コンタクトにして、服装も変えた。メイクも覚えてダイエットもして、表情や話し方も研究した。

大学は地元から離れた東京を選び、そのために必死に勉強もした。



その甲斐あって見事、大学から私は別人のようになった。

周りに否定されたくなくて、嫌われたくなくて、完璧な人間を装うようになった。

その一方で様々なアニメや漫画にハマってはグッズを集めてイベントに通って、とオタクっぷりには一層拍車がかかった。



そんな一面を徹底して隠した末、ひとり彼氏が出来たはいいものの、本当の自分をカミングアウトしたところ引かれて別れ話となった。

おかげでいっそう誰にも言えなくなってしまった。



こんな私を知っているのは、遠い地元の数少ない友人と家族くらい。

それ以外には誰にも言えないし、踏み込んだ仲にはなれない。恋人もできない。

だけど、それでいい。



『今日も、俺たちの歌でお前を骨抜きにしてやるぜ』

「きゃー!かっこいいー!!涼宮くーん!」



画面に向かって夢を見るだけの日々でも、いいのだ。




< 8 / 160 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop