強気なサッカー選手の幼馴染みが、溺愛彼氏になりました
千春の手紙を手渡されて、悲しくなるそれを読むのは嫌だったけれど、もう一度よく読み直す。
サッカーをしている所が好き。夢を叶えてください。………千春は、自分の夢をどんなことだと思っているのだろう。千晴といること…………けれど、ここにはそういう事ではないとわかる。
彼女に話した、自分の夢。それを考えて、ハッと思い出したことがあった。
「………もしかして、日本代表の。」
「少しはわかったみたいね。」
千春に話したのは、自分が日本代表に戻る事だと秋文は話した。
会社企業は、先輩のためでもあり、千春のためだった。もちろん、秋文がサッカーを引退した後を考えての事だから、自分のためでもある。そう思ってきた。
けれど、千春は違ったのだ。
秋文が本当に好きな事は何なのか。しっかりと分かっていたのだ。
サッカーが好きで、そして世界に挑戦したい事を。
秋文自身よりよくわかっていたのだ。秋文をよく見ていたから。
「千春は自分のために夢を諦めてるんじゃないかって思ってたのよ。」
「それは……そんな事は……。」
「ないって言えないでしょ?千春が寂しがるからって思ってなかった?」
「…………。」
仕事で忙しくて会えないだけでも寂しがっていたのだ。海外に行ってしまったら、彼女は寂しがる。泣いてしまうだろう。そんな風に考えてしまっていたのは、秋文だった。
「だって、そうだろ?あいつは寂しがり屋なんだ。会えない日は寂しいって言ってた。海外なら数ヵ月は会えないんだ。もしかしたら、1年以上かもしれない。……そんなこと、千春にさせたくないんだ。」
自分の知らないところで彼女を悲しませたくない。会えないところで、泣いていたら慰めることも抱き締めることも出来ない。
彼女は仕事も好きなはずだ。海外に連れていく事も出来ない。
「………本当にあんたは千春の彼氏だったの?千春の気持ち、わかってなさすぎよ。」
「………っっ。俺はおまえよりあいつを見てたよ。ずっとずっと……。」
「じゃあ、何で千春は目の前からいなくなったのよ?」
それがわからない。
わからないから、苦しいのだ。
自分が千春をわかっていなかった。彼女の気持ちに気づけなかったのが悔しくて堪らなかった。
そして、千春に謝りたかった。