強気なサッカー選手の幼馴染みが、溺愛彼氏になりました
すぐに服を着て髪を乾かし、ペットボトルを持ってリビングの窓際のソファに座ってボーッと外の夜景を眺める。
外は大粒の雨が降り続いていて、時折はげしく雨水が窓を叩いている。
こうやってこの温かい場所で、愛しい人が来るのを待っている穏やかな時間。それが何よりも大切でなくしたくない物だった。
自分がスペインに行ったら、長い間千春に会う事が出来ない。
先ほどのようにお風呂で笑い合い、キスを交わすことさえも出来なくなってしまうのだ。そんな事が自分に耐えられるのか。そんな自信はなかった。
千春と付き合う前は、頻繁に会う事ももちろん触れ合う事もなかった。けれど、月に数回は会っていたし、彼女を見守ると決めていたので我慢する事が出来た。
けれど、今は違う。
彼女を抱き締めた時の感触や暖かさや匂い。そして、照れたときの色っぽい顔、キスの柔らかさ、抱き合った時の幸福感。
それを味わってしまったら、もう後戻りは出来るはずがなかった。
千春がこの手から離れるの事など、想像さえもしたくなかった。
それに、千春も寂しがり屋だ。
秋文がスペインに行くと行ったら、泣き出すだろうか。それとも、無理に笑って送り出すのだろうか。
どちらにしても、そんな千春の顔を見たくはなかった。