強気なサッカー選手の幼馴染みが、溺愛彼氏になりました



 最近の千春は少し焦っているのがわかった。

 2人でいる時間は少ないのだから、たくさん甘えたいと思ってくれているのは嬉しい。秋文も千春に沢山触れていたいと思う。
 けれど、千春らしさを考えると、心配でもあった。求められるのが嬉しいが、「どうした?」と聞くと「だめかな?」と寂しそうな顔をされてしまうと、それ以上はなかなか聞き出せなかった。


 その後はまた2人でお風呂に入って体を温めてから、ベッドに入る。どうせ脱がせてしまうのに、と言うと「裸で部屋を歩くなんて出来ないでしょ!」と怒られた事を思い出しながら、千春にキスを落とした。

 秋文に押し倒された千春は、キスを数回しただけで目が潤んで顔や首元も赤くなってしまう。
 秋文が彼女のパジャマに手を伸ばし服を脱がせようとすると、「やるから。秋文も脱いで………。」と消えそうな小さな声で言われる。
 
 見つめてくる瞳が濡れて間接照明の淡い光をうけて、光ってみえる。「わかった。」と返事をしてから、自分の服を手早く脱いでしまう。千春もワンピースのパジャマを脱ぎ終わったのを見て、秋文は頬にキスをしてから、素肌を合わせるように抱きしめる。
 

 「ん………あったかい。気持ちいいぃ……。」


 こうやって2人で抱きあうのが、千春の好きな事だと秋文はわかっていた。もちろん、自分も同じ気持ちだ。
 こうやって熱を感じ合う時間が幸せで、ずっとくっついていたいと思わせた。


 「ね………秋文。」
 「なんだ?」
 「私、秋文が好きだよ。………告白してくれて、ありがとう。」


 突然、そんな事を言われ、驚いて彼女の顔を見つめる。
 すると、熱に溺れているだけではない、涙がぽろりと千春の目から流れていた。
 秋文はその涙を指で拭いながら、彼女の顔を覗き込んだ。


 「千春?……どうしたんだ、何かあったのか?」
 「………ううん。大丈夫。」
 「でも………。」
 「幸せだなーって思ったら泣けてきちゃったの。」
 

 何かを堪えてる表情で泣く千春を、これ以上見ることができなくて、秋文は激しくキスをして、そのまま千春の体を口づけ続けた。

 
 その後、ほとんど会話もなくお互いに熱を与えられるのに夢中になっていた。

 秋文は、熱に溺れながら自分の名前を何度も呼ぶ千春を、泣きそうになりながら見つめて攻め続けた。

 その夜、千春は何度も求め秋文もそれに応えて抱き締め続けた。


 けれど、千春の気持ちに気づくことは出来なかった。


 



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