シタイカクシ

絵に奔走する夏

前期末の試験も終わり、せみも鳴き始めた。クーラーを効かせた部屋でも窓から差し込む日光は熱い。



美沙はスケッチブックに鉛筆で軽く書く。昨日も、先週もずーっと一日中絵を書いている。
畑、田んぼ、古いだけで歴史を感じられない民家。生い茂った森。

ありきたりで面白みもない。都会に住んでいて高層階から見える景色。エメラルドグリーンな海。歴史的な建物。そんなものはこの田舎には断然ない。あるわけが無い。


紙をぐしゃぐしゃに丸め捨てた。

「あー、もう」
納得をいかず奇声を上げた。


「美沙、気分転換に画材を買いに行こう」

見かねた母が声をかけてくれた。ぼさぼさの髪を軽く整えラフな服に着替えて母の元に行った。



母は車に乗って待っていた。この辺で大きい画材屋さんは1時間くらいかかる。

山を越えないといけないのだから。夜通し絵を書いてるせいか眠くなってくる。

車の揺れってなんで睡魔を誘うだろう。目が自然と閉じた。
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