今夜、色のない君と。



今目の前にいる、購買のパンを頬張りながら携帯をいじっている光世を横目で見てみたけど、



やっぱりコイツにだけは冷めた目で僕を見て欲しくなかった。



恋愛に関してふしだらな光世は、僕の恋愛に意見する権利などないからだ。


もっとも、僕の今の気持ちは、恋愛小説のヒロインや絵の中の女のコに対しての恋愛感情なのかどうかは定かではないが。




「ここの学校昼休み長いからいいんだよなー」



3年間聞き続けた光世のそのセリフは、学校の屋上から澄んだ青空へと消えていった。



僕たち以外にもお弁当や購買で買った何かを食べてる人はチラホラいるけれど、

僕と光世みたいにほとんど話さずに屋上来てお昼を済ませている人は、ほとんど見た事ない。


たいていはみんなギャーギャー言って友達同士で騒いでいる。



比べてこちらは文学少年と携帯小僧だ。



もはや一緒に昼休みを過ごす意味などないと言われても仕方がない。



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