溺甘系朧咲夜【完】
遙音先輩は、小さい頃にご家族を亡くしている。
その理由が事件で、解決したのが流夜くんたち三人。
以来、私は面識なかったけど、遙音先輩のことを見守ってきたらしい。
遙音先輩は施設に預けられたり家出したりと紆余曲折を経て、元刑事の龍生さんのもとへ落ち着いたということだ。
笑満は遙音先輩の幼馴染で、この件で離れてしまっていたけど高校へ入って再会。
笑満の片想いは、今年の六月に実った。今は学内公認のラブラブよ。
「こんにちはー」
「あ、絆さんいらっしゃませー」
猫の鈴みたいなドア鈴が鳴った。入って来たのは降渡さんの彼女の絆さんだ。
「席、空いてる?」
と、お昼の店内を見回す。
「勿論です。特等席がございますよー」
にやにやと言う私に、やっぱりにやにやした降渡さんが自分の隣のカウンター席を軽く叩く。
絆さんはうっと喉を詰まらせた。恥ずかしそうだ。可愛いなあ。