好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
俺は、ほのかを笑顔にするために努力したのか。

全て、他人任せだったのではないか。

俺は床に転がる雑誌に力なく視線を向ける。



『他薦も可。デビューした場合、紹介者に10万円』と書かれている。

俺は、たった10万円でほのかを売り渡してしまったのか。

机の引き出しには、オーディションの賞金として受け取った10万の残りが封筒に入れてしまってある。



この10万を返しても、もうほのかは帰ってこない。

自分は、どうしてこんな賞金を受け取ったのだろう。

俺は床に座り込んで、膝を抱えた。
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