好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
顔つきが引き締まったというか、表情が変わったというか、以前のほのかとは少し違う。

大人の色気まではいかないけど、より女らしくなったように見える。



やっぱり、好きな男でもできたか。

俺が知らないうちに他の男と付き合っているのか。



だから真面目なほのかが俺の家に勉強に来ることもなくなり、夏休みの宿題すらギリギリまで手をつけなかったんじゃないか。

受験生のほのかが勉強を放り出してまで夢中になっているのは、どんな男だろう。

ほのかが女になって嬉しいはずなのに、それが他の男のためだと思うと俺は許せなかった。



「……何?あたしの顔になんかついてる?」

内心イラつきながら観察していた俺の視線に気づいたのか、あいつはキョトンとした顔で俺を見上げた。
< 16 / 210 >

この作品をシェア

pagetop