ドラマチックな恋は、突然に。
「買い物にでも、行って来ようかな」

わざと口に出してきっかけを作り、ソファーを立った。

気分を変えるには、外にでも出るしかなかった。

服を着替えて、軽くメイクをする。

部屋着のまま出ることもできたけれど、すっぴんで服にも気をつかわなくなったらさすがに老け込んでしまうんじゃないかと感じた。

結婚してもう10年近くがたとうとしていたけれど、妄想でも夢くらいは見ていたかった。

そうは言っても、時間をかけてメイクをするほどでもなければ、服だってこだわりがあるわけでもなくて、

ただなんとなく、小綺麗にできていればいいという程度だった。

こんなもんかなと、普段からよく着るヘビロテ服に、ナチュラルと言えばナチュラルな時短メイクをして、玄関で靴を履いた。


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