エリート副操縦士と愛され独占契約
遠く、ゴーッというプロペラ音を聞きながら、無事着陸するまで見守る。
今帰ってきた飛行機には、誰か乗っているかな?なんて考えた。


同期入社の仲間たちには、飛行機に乗務するCAもいるし、機体の保守に従事する整備士もいる。
入社七年目を迎えた今、パイロット訓練生のうち数人は、副操縦士の資格を得て、コックピットに入っている。


一言に副操縦士、CAと簡単に言えないほど、大変な仕事なのはわかっている。
特にパイロットは、華やかで派手なイメージを持たれやすいけれど、空の上で何百人という乗客乗員の命を預かる責任重大な職務。
強い緊張感を持って乗務に当たる上、健康基準も厳しく設けられていて、普段の生活でも節制を求められる。
心身の健康を維持するために、みんな涙ぐましい努力をしているのは聞き知っている。


同じ会社の社員で、同期だからこそ、本当に尊敬する。
私は、今まさに機内にいるかもしれない同期を、『お帰りなさい、お疲れ様』と心の中で労った。


終業時刻まであと三十分。
私も、彼らに負けていられないという気持ちで、もうひと踏ん張り、と自分の仕事に集中した。
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