エリート副操縦士と愛され独占契約
私が所属する財務部は、期末期初や、予算の月締め日でなければ、それほど業務に追われることはない。
先週、九月の上半期末の繁忙期を乗り越えたばかりだ。
今週は業務量も落ち着いていて、私は定時で仕事を終えた。
同僚たちも仕事を切り上げ、片付けに入る空気を感じながら、帰り支度をしてオフィスを出た。


オフィスビルから最寄りの空港駅までは、空港施設を突っ切って十分ほど歩かねばならない。
毎日の通勤だし、ほんのちょっと不便なのは否めない。
でも、昔から空港や飛行機が好きで航空会社を志願した私は、こうして毎日空港を歩くのも楽しい。
今日もいつも通り空港内に入り、地下の駅に向かうと、前方から、キャリーケースを引いてこちらに歩いてくる、うちの会社の制服を着たCAの集団に出くわした。


みんな揃ってスラッと背が高く、スタイルがいい。
ビシッと清潔にまとめたヘアスタイルは上品で、キリッとしたカッコよさを際立たせている。
タイミング的に、さっき着陸した飛行機の乗務員かもしれない。
私はなんとなく通路の端に寄り、彼女たちに道を空けた。


すれ違いざまで足を止める。
あの中には、私の同期の姿はなかったな。
そんな風に思いながら、彼女たちの背を振り返り、見送っていた時。
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