打って、守って、恋して。

テンポよくやり取りしあうのを眺めて、翔くんがチラリと私に視線を送ってきた。

「今夜は盛大にお祝いっすね!」

「まいったな。どう考えてもこのままじゃ柑奈ちゃんは藤澤についていくだろ?沙夜ちゃんは?栗原と結婚すんのか?」

「そんな予定ありませーん」

あはははと笑い合っている三人を見ていたら、安心してぽろっと涙がこぼれた。こらえきれなくて、ぽろぽろと流れる。

「柑奈ちゃん、大丈夫!?」

慌てて沙夜さんが私の肩を抱いて優しくさすってくれた。
何度か小さくうなずいた私は、

「ちゃんと頑張ってるの、見ててくれた人がいたんだ」

とつふやいた。


うちに来てほしい、うちでプレーしてほしい、そう思ってくれるプロの球団がある。
それは、本当に奇跡的で素晴らしいことなのだ。

プロに行きたくても二度その夢が破れていた彼にとって、今回の指名はきっと感慨深いものがあるに違いない。


テレビの中で居心地が悪そうにうつむく彼の姿を、私はじっと見つめ続けた。
会ったらなんて声をかけようかと思いながら。









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