打って、守って、恋して。
エピローグ

この一年弱で変わったこと、分かったこと。
たくさんありすぎて、挙げればキリがない。

でも、とりあえず今日も平和に私の働く会社は私語に満ち溢れている。


変わったことといえば、年明けに沙夜さんの苗字が変わっていた。会社では一同驚いた。“相田沙夜”が“栗原沙夜”になっていたのだ。

簡単に言うとドラフト会議のあとに栗原さんから即座にプロポーズされたらしい。もちろんそれは断ったのだが、彼は一切引くことはなかったという。
病気のお母さんのために地元に残りたいからと交際を断られたのだから、自分は地元の球団に行けるのでその点は何も問題がない、と。さらには彼女が次に付き合う人とは結婚したいと言ったことを覚えていて、ならば結婚しようと。

あっぱれと拍手を送りたくなるほどの情熱をあのイケメンから放たれた場合、女性なら九割九分落ちるであろう。
落ちないのだから沙夜さんはすごい。

それから二ヶ月近く首を横に振り続けたものの、栗原さんはまったく動じず、結局、彼の粘り勝ちでプロポーズを受け入れたらしい。

私には詳しく話してくれなかったが、おそらく二人の間にはなにかしらの恋愛エピソードが存在していて、それの積み重ねで結婚に至ったんだと思う。
そうでなければあの沙夜さんがプロポーズを受け入れるはずがない。

なんだかんだで幸せそうに微笑む沙夜さんは勉強してアスリートフードマイスターという資格を取り、スポーツ選手のためにどのような食事を提供すれば最適かをしっかり把握して愛する旦那さまと新婚生活を送っている。
そんな資格があること自体知らなかった私は、それがアスリートの妻になる心得なのかと驚愕した。

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