打って、守って、恋して。


「藤澤職人は基本、愛想もないんだよね。前に日本選手権に出場が決まった時に、私みたいな一般のファンを集めて壮行会やったんだけど、ぼそぼそ話すし笑いもしないし、あれには萎えたわ」

「えええ、窓口ではすっごく爽やかで優しかったよ。普通に笑ってたし」

「へぇー、じゃ今度試しに窓口行ってみっかな!藤澤職人の笑顔見てみたいもん。たいてい午前中は内勤してるから、あの人たち」

私の話が相当意外だったのか、凛子は会いに行こうとまでしている。
どうやら私たちの藤澤さんに対しての見解に大きな差が生じてるらしい。ますます興味が出てきてしまった。

凛子はというと、それよりも栗原がね、と推しの選手について熱く語りだしたので、長くなることを察知していつもの流しモードへ切り替える。
時間をかけて栗原さんの素敵ポイントを挙げる彼女の話に、ゆったりと耳を傾けたのだった。


こうして、その日から二週間、凛子先生による野球講座を受け続けるはめになった。




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