死にたい君に夏の春を


「よー、高階」


近所でお馴染みの公園で待ち合わせをした。


夏休みだからか、平日でも人がいる。


それぞれ子供たちは鬼ごっこをしたり、遊具で遊んだりしている。


こんなに暑いのに、外で遊べる人の気が知れない。


「おう、織部」


「金ちゃんと持ってきた?結構使うぜ」


自然と足はゲームセンターへと向かっていく。


「金欠だからあんまり……」


そんなこと言うけれど、毎月1万円が支給されているから金欠ではない。


別に使いもしないのに、父が勝手に部屋に置いていくのだ。


彼なりの『父親らしい』行動なのだろう。


育児放棄していることに気がついてない、馬鹿な親だ。
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