大江戸シンデレラ
——さすれども……
いつまでも、そないな泣き言を云うてはおられぬなんし。
たとえ如何なる謗りを受けようとも、今のおのれはこの場で生きてゆかねばならぬ定めなのだ。
おまんまと着る物と寝起きする場が与えられているだけ上等、と思わねばならぬ。
身分の上の者に頭を垂れ続けることで、世知辛い世間に放り出されずかように生きていけるのならば、美鶴にとってはお安い御用だった。
そもそもが、廓の酔客に傅いて生きてこざるを得なかった、下賤な身の上である。
——さすればこそ……
「苦界」で生まれ育った妓の「意地」もありんす。