大江戸シンデレラ

美鶴の身体(からだ)から離れた夫が、荒々しくおのれの帯を解き、寝間着を脱ぎ捨てる。

下帯を緩めたかと思うと、美鶴の腰巻を(まく)り上げる。

やわらかな手触りの薄い下生えが、はっきりと姿を見せた。

真っ暗闇の(ねや)の中で、其処(そこ)はまるで夜露に濡れたかのように艶めいている。

もう、互いの荒い息しか、二人の間に言葉はなかった。


美鶴の脚の間に、大きな身体が滑り込んでくる。

剣術などで鍛え上げた、いかにも武家の男らしい(たくま)しい身体であった。

そのとき、すっかり(たぎ)るほどに熱くなった我が身を、美鶴のまだだれにも暴かれたことのない胎内(なか)へ、いきなり沈めていった。

いっさいの遠慮会釈はなかった。

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