大江戸シンデレラ

そのあと、あわてふためいて着たゆえにぞんざいになっていた寝間着を整え直すと、美鶴は中央に敷かれていた夜着の中へ身を潜り込ませた。

我が身のためだけの夜着は、夫の部屋にあった夫婦で使うのとは大きく異なり、あっさりした文様の綿入れ打掛であった。

されども、島村の家に着いたばかりの頃のことを思えば、何の不足があろう。


美鶴は、傍らに引き寄せた行燈(あんどん)の火を消した。

< 277 / 460 >

この作品をシェア

pagetop