停留所で一休み
今度は勢いよく、首を縦に振る。

「おまえらしいって言えば、おまえらしいな。」

あいつは、ため息をついた。


「そういえば、どうして小形が、俺の存在に気付かなかったか、分かる?」

そんなこと急に聞かれても、私が困る。

「分かんない…」

「だろうな。」

そう思うなら、最初から聞かないでほしい。


「答えは簡単。小形はいつも前を向いていて、俺がいつもおまえの後ろにいたからだよ。」

私の頭の中には?が飛び交った。

「いつも真っ直ぐに、前だけを向いていて、後ろなんか振り返らない。それがおまえだ。覚えておけ。」

やっとその言葉の意味を理解して、後ろを向いた時にはもう、あいつの姿は、そこになかった。
< 201 / 224 >

この作品をシェア

pagetop