停留所で一休み
「ごめん。私ったら……」

私が離れようとすると、あいつの腕が後ろから、私を強く抱きしめた。

あいつの息が、私の首にかかってきて、彼の右手が、自分の頬に触れると、唇もだんだん近づいてきた。


「ダメだよ!!」

私は、目をつぶって叫んだ。

「本村君、彼女いるじゃない……」

「いないよ。」

そう言うと、更にあいつの唇は、私の唇に触れそうになった。

「でも!私達、付き合ってない……」

そこでようやく、あいつの唇は、私から離れていった。


私は、あいつに背中を向けた。

「こっち向いて、小形。」

あいつの声を聞いて、ドキッとする。

私は、首を横に振った。

「俺の方へ向いてくれないの?」
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