停留所で一休み
「ただいま~!」

勢いよく玄関を開けた私は、そのまま勢いよく靴を脱いで、家の中に入った。

驚いたのは、家にいた母親・真弓(マユミ)だ。


「い、出海?」

「何?娘の顔も忘れたの?」

トランクを持って、居間に向かうと、ドスンと重い荷物を置いた。

「いや、忘れてはいないけどさ……」

「けど?」

「お盆でもお正月でもないのに、どうしたの?」

私は、呆れながら振り返った。


「お盆やお正月じゃなければ、実家に帰ってきちゃダメなの?」

「ダメじゃないけどさ……」

「けどさ?何。」

「……めっずらしい。」

あくまで何かを疑っている母親。

「何かあったの?」

「何かって?」
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