停留所で一休み
「本当にこれは、旅みたいなもんだわ。」

行先は知り尽くしている実家。

ウキウキもワクワクもしない。

しがない一人旅。


― いつか出海の実家に行ってみたいな ―


佳樹の言葉を思い出して、身体を横に振る。

「ああ~ヤダヤダ。あんなヤツのこと、思い出すなんて。」

私はトランクを抱えると、バスに乗る人達の列に加わった。

さっきと同じように、バスの一番後ろに乗った。


懐かしい景色が広がる。

海も見えてきた。

ようやく実家に帰って来たのだと、この時実感する。


人の気配がないバス停。

バスを降りて、そこからから10分。

そこが私の実家がある場所だった。
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