停留所で一休み
「そう、なかなか可愛い娘なのよ。」

「へえ……」

母の様子を見ていると、母もその和希(ワキ)ちゃんって娘を気に入っているらしい。


「何してる人?」

「克己と同じ郵便局で、働いているのよ。」

職場恋愛か。

しかもあの地元の小さな郵便局の中で。

そう思うと私は、小さくて狭い世界で、繰り広げられている恋愛が、つまらなそうに見えた。


「かっわいそ……よりによって、克己なんかに捕まって…」

「出海……克己なんかにって、自分の弟でしょ。」

「そりゃ、そうだけどさ。」


あの克己にも彼女が。

ちょっぴり、取り残された気分になった。


30分程経ち、料理を食卓に並べていると、突然外が騒がしくなった。

「帰ってきた、帰ってきた。」

母はなんだか、ソワソワしている。

急に玄関が開く音がして、聞こえてきたのは克己の声。


「上がって、上がって。」

「お邪魔します。」

やけに可愛らしい声が聞こえてきた。
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