停留所で一休み
「だったら、どうして……」

「何だろうね。言葉では上手く言い表せないけれど、なんとなく分かったんだよね。」

「何を?」

しばらく私を見た後、佳樹はこう言った。

「出海さ……俺が結婚してくれって言ったら、プロポーズ受けてくれる?」

「当たり前じゃない!」

佳樹とだったら、ずっと一緒にいてもいいと思った。

「じゃあさ。結婚、もう数年待ってくれって言ったら?」

息が止まった。

「ほらね。出海は、俺じゃなくてもいいんだよ。」


”違う!佳樹じゃないと!”

その言葉が出てこない。


目の前の佳樹も、目が潤んでいる。

傷つけた。

大切な人を、今も傷つけている。
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