停留所で一休み
「は?」

克己は顔を歪ませている。

父なんて、湯呑を持ったまま固まっている。

母は知らん顔で、お茶をすすっている。


「どうするんだよ、その歳で別れて。」

「仕方ないでしょ?若い子と浮気してたんだから。」

私は半分ウソをついた。

浮気してたって言うか、奪われた?

うわ~。


「あ~あ、捨てられちゃって。」

克己は私を、可哀想な目で見てくる。

「捨てられたんじゃないの!捨ててやったの!!」

100%、私の強がりだった。


「まあ。そういう事もあるわね。」

呑気に母が、口を入れてくる。

「3年付き合って、マンネリもして、若い女の子と浮気されて、怒って別れた。あるある。」

母は、何とかあるある話に、持っていこうとしている。

「お母さんも、そういう経験あるの?」

「お母さん?ない。だって、お父さんとしか、付き合ってないもの。」

ホホホと笑う母に、呆れる私だった。
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