停留所で一休み
一香(イチカ)が、自分の子供の名前を呼ぶ。

「急にそんな事したら、出海お姉ちゃんがびっくりするでしょう!!」

母親の言葉に、一弥はそっと、私の顔を覗いた。

「お馬さん…」

「は?」

私と一香の、顔が歪む。

「お馬さん、パカパカしよう!おばちゃん!」

「お、おば…」

そう言って、背中で暴れる一弥。

おばちゃんって……

そりゃあ確かに、一弥から見たら、私は叔母さんだけどさ。


「一弥!」

見かねた一香が、一弥を私の背中から、引きずり降ろした。

「ヤダヤダ!おばちゃんと遊ぶ~!!」

私は頭を持ち上げると、一香へ言った。

「ちょっと、一香。おばちゃんって、一体どんな教育してんの?」

「どんな教育?4歳の子供に、事実を捻じ曲げて教えろって言うの?」

「あんたね~」

私と一香が睨み合っていると、一弥はグズグズと泣き出した。

「だって…ボク……おばちゃんと…」
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