恋する24時 2

 あの時の先輩の顔が

 とても、困惑していて

 嬉しそうだった顔を曇らせてしまった。



 色々な理由があって

 今は、安心させてもらえた分

 その事が、急に

 気になってしまったから……。




「あぁ、KISSの時のこと?」




 言い当てられて、更に顔が熱くなる。



 アタシは、恥ずかしくて

 下を向いたまま言う。




「はい、……色々な理由があったとは言え、ごめんなさい」



「……」




 しーん……、先輩が

 黙ってしまった?




「……」



 ヤバい……、謝るの

 しばらく禁止だったのに

 謝ってしまった……。



 お、怒られる?



 ビクビクして、顔を上げると

 ドキッとするような

 切なく笑う先輩の顔があった。




「本当に、由似ちゃんはキレイだね」



「……」




 差し伸べられた手に

 アタシは、誘われるように自分の手を重ねる。



 鼓動が、さっきの比じゃなく

 速くなっていた。



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