恋する24時 2

 穏やかにアタシを見つめる瞳から

 目がそらせない。



 手を引かれて

 先輩の胸の中に抱きしめられた。



 安心する匂いと、いつもより少し早い

 心臓の音がした。




「オレからも、ちゃんと言っていい?」




 えっ?



 耳元で、囁く先輩の声が

 少しだけ緊張していた。




「由似ちゃんのこと、ずっと前から好きだよ? これからも、オレと一緒にいてくれる?」




 先輩からの言葉に

 アタシは驚いて顔を上げた。



 脅迫になるからと

 言わなかった先輩からの言葉が

 嬉しくて……。




「……はい」



「じゃあ、今度は幸せな気持ちで出来る?」



「!?」



 誘うような先輩の笑顔に

 アタシは、緊張して

 ギュウッと、シャツをつかんでしまう。



 改めて確認されると

 恥ずかしさが桁違いだ。



 コツンと先輩のおでこが

 アタシの額に重なって……。




「由似ちゃん、返事は?」



「……」




 もう、恥ずかしいのと

 心臓の音がヤバいのと

 頭がクラクラでイッパイいっぱいだ。



 でも、自分から望んだこと。




「……はい」



 ちゃんと先輩の目を見て言った。



 嬉しそうに目を細めて

 可児先輩の手が頬に触れる。



 そして

 アタシと可児先輩は

 今度こそ

 本当に幸せな気持ちで口づけを交わした。














 fin

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