前略、さよなら


次々と言いたいことが
溢れ出てきた。

でもどれもうまく言葉にできなかった。


陽は私の頭を優しく撫でた。



梨花と琴葉はぽかんとして

星華は恥ずかしそうにしていた。


「ごめんね

僕千代と変わらず
一緒にいるつもりだから」

陽はにっと笑った。

なんだか久しぶりに見た気がする。


あの、どこかいたずらっぽい
いつもの笑顔。



「そうだ!
陽、祠また探しに行ってみようよ」

「いーね!」


陽のキラキラした目。

昔は私もあんな目をしていたのかな。


今は違うとしても

でもきっと

私の心のどこかでは
今でも本当に信じているのだ。


おばけや宇宙人やサンタクロースと
同じように

この世界のどこかにあるかもしれない

不思議な

道が道じゃない奥の

時を旅できると言われる

祠の場所を。




✲*゚


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