しあわせ食堂の異世界ご飯3
「自分の立場をわかっているのか?」
「それは……もちろんわかっています。でも、リズちゃんがお父さんのために美味しいご飯を作ってあげたい気持ちは無下にできなくて」
 王女であるアリアがそのようなことをするなんてと、リントに窘められる。
 もちろんそれはアリア自身もわかっているのだが、小さな子供の健気な想いは汲んであげたいのだ。
「まあ、父親のために料理を覚える程度であれば問題はない……か。俺もアリアの料理を食べるのは好きだからな」
「リントさん……」
 不意打ちのような言葉に、アリアは頬をゆるめる。
 食事に何の価値も見出せていなかったリントだが、アリアが自分のために作ってくれた料理を食べるうちにどんどん好きになっていったのだ。
 その気持ちを知ってしまったから、本当であれば弟子なんて取る余裕はないだろう――そう言いたいのだが、リズの気持ちを考えたら許可せざるを得なかった。
 誰だって、大切な人が作ってくれた料理は嬉しいものだ。
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