しあわせ食堂の異世界ご飯3
「はふっ」
 慌ててかきこんでしまったせいか、ご飯の熱さで喉を鳴らす。しかしそれでも手を止めることができないのは、しらすの魔力とでも言うべきだろうか。
 リントはあっという間に丼ぶりを平らげてしまった。
「しらすというのも、すごく美味いんだな。……いや、アリアの料理の腕がいいのか」
「ありがとうございます、リントさん。喜んでもらえて嬉しいです。さあ、みんなも食べてください!」
 アリアの声に、全員が丼を手に持ってしらす丼を堪能する。
 すでに平らげてしまったリントは、しらすじゃこのおにぎりを手に取った。それだけではなくお味噌汁もあるので、かなり満腹になるはずだ。
 ローレンツもしらすを口に含んで、「面白い味ですね」とその食感を楽しんでいる。
「小さい魚なので、食べ応えはあまり期待していなかったんですが……数が集まると、普通の魚では味わえないものがありますね」
「大きい魚、小さい魚、それぞれによさがありますからね。両方味わってほしいです」
 元々魚が好きなローレンツはしらす丼も気に入ってくれたようで、アリアはよかったと一安心だ。
< 57 / 201 >

この作品をシェア

pagetop