バツイチ彼に告白したら、予想外に溺愛されて困惑しています。
入口でもらったパンフレットを見る。

概要に、【工作機械およびその関連機器等の国際間の技術の交流をはかり、産業の発展と貿易の振興に寄与する】と書いてある。

いきなり難しく興味がなさすぎて、全然頭に入ってこない。
私、今日この場にいて、大丈夫かしら。
紅林さんはというと、心なしかウキウキしている気がする。
気のせいかな?

まわりからあんなにも無表情で取っ付きにくいなんて言われている人なのに、私は紅林さんの表情の少しの動きにも敏感だ。
ちゃんと笑ってくれるし、驚いたりもする。
そのひとつひとつに、いちいちときめいてしまう私は、きっと末期症状だ。

機械工作に興味はない。
けど紅林さんが隣にいてくれるので、なんだかんだついていく。
会場は広く、企画展示、特別展示、商談会、ワークショップ、セミナー、学生向けセミナー等、盛りだくさんだ。

展示のブースでは紅林さんが気を遣っていろいろと説明をしてくれる。
私がちんぷんかんぷんなのを見透かしていたみたいに、噛み砕いて丁寧に話してくれる。
わかりやすくて詳しくて、いつしか私は紅林さんの話にどっぷりハマっていた。

関係ないと思っていた私の仕事も実は繋がっていて、自分の仕事を見直すきっかけにもなった。
おかげで、あんなに興味がないと思っていたことが嘘のように、あっという間に時間が経っていた。
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