バツイチ彼に告白したら、予想外に溺愛されて困惑しています。
乾燥を待っている間、紅林さんがコーヒーを淹れてくれる。
ブラックは苦くて飲めないですと言ったら、ミルクたっぷりの甘いカフェオレを作ってくれた。
甘い香りと湯気がくゆる中、紅林さんとソファに隣同士に座る。
一口飲むと、温かさと甘さで体がほうっとなった。

「今日は付き合わせて悪かった。」

「いえ、楽しかったです。」

「まさか雨が降るとは思わなかったな。」

「通り雨とはいえひどかったですね。ゲリラ豪雨みたいでした。天気予報では通り雨って言ってたのに。」

私は思い出しながらふふっと笑う。
ふいに髪の毛を触られて、驚きのあまり持っていたマグカップを落としそうになった。
ドキドキしながら紅林さんの方を見ると、真顔で聞いてくる。

「髪の毛も乾かす?結構濡れてる。」

確かめるように毛先を触ったり前髪を触ったり。
そのちょっとした動きや視線の行方さえ気になって、私の神経は髪の毛の先まで研ぎ澄まされたかのようだ。
紅林さんが私の髪に触れるたび、私の胸は高鳴る。
ドキドキしすぎて、私は石のように固まっていた。
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