夜のしめやかな願い
「移る。
出てけ」
「大丈夫よ。
マスクしているし」
眉をひそませた。
何か言いたげだが、大儀そうにそのまま目を閉じた。
寝息が立つ。
点滴が終わったら、起こして帰らなければならない。
無理に動かすというのは忍びない。
安らかに寝かせていてあげたい。
それに今、どこに住んでいるのだろう。
一人暮らしなら、この状態で一人にできない。
誰か一緒に住んでいるなら、お迎えをお願いしないといけない。
さゆりは迷ってから廊下に出ると、内藤家に電話をかけた。