夜のしめやかな願い

「研修、始まっているんだよね?
 忙しい時期に、ごめんね」
「さゆさゆのためならね。
 ってか、オミ兄にそのセリフを言わせたい」

宗忠はため息混じりに言うと、瞼を伏せる。

物憂げな色気が漂う。

さゆりはそれを寂しい思いで見つめた。

けっして自分のものにならない男。

こんなに近い立ち位置にいるのに。

世の中はままならないもんだ。

さゆりもため息をついた。

< 132 / 187 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop